希望の始まり

プレコンセプションケア

私の年齢は、「新聞の一面を飾らなかった年」は、生まれてから一度もありません。


この文章のはじまりを見て、「何か重い話かな」と思った方もいるかもしれません。


1995年1月17日。


私の誕生日であり、阪神・淡路大震災が起きた日です。

あの日から何年、というニュースを見るたび、 私の年齢も、いつも一緒に数えられてきました。


母は、今でも忘れられない出来事があると言います。

それは、私が生まれた翌日、病室で、 隣のベッドにいたお母さんがふとつぶやいた言葉です。


「震災で、私の家族、この子以外みんな死んじゃったんです。」


私は横浜で生まれたので、直接的な被害はありませんでした。


でも、このたった一言が、どれほど深い傷と重さをもっていたのか。 母はその言葉を聞いて、胸が締めつけられたそうです。



私は幼稚園の頃誕生日に黙祷したことを覚えています。

どうして私の誕生日なのに華やかなパーティではなく黙祷なの?と驚きました。

そして、沢山の人が亡くなり、被害を受けた日だと知り、生まれてこなければ良かったのでは?と悲しみました。


4歳の子がそんなことを思ったと思うと今では、私も震災の被害を受けた1人なのではと思います。

大好きなお母さんに、私が生まれてこなかったら、たくさんの人は悲しまなかったのかな?と聞きました。



そして母は、悲しいことが起きても、それでも― 「赤ちゃんが生まれたことは“希望”なんだよ」 母はそう語ってくれました。


今、私は助産師として、日々お産の現場に立ち会っています。

出会う命の一つひとつが奇跡で、 誰ひとりとして同じ「誕生」はありません。


中には、妊娠中に迷いや不安を抱えていたお母さんもいます。

それでも、生まれてきた赤ちゃんには、 「おめでとう」を、心を込めて伝えています。


プレコンセプションケアは、 “妊娠する前”から心と体を整え、 未来の家族に向けた準備をするケアです。


親になるって、何だろう。

いつか子どもを持ちたいけど、不安――


そんな気持ちを抱えている方に、私たちは寄り添い、伴走していきます。


“誕生”が、家族にとって希望となるように。 これからも、誰かのその一歩に寄り添える活動を、 丁寧に続けていきたいと思います。


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