「あの頃の好き、どこに行った?」と思った日に読んでほしい話
恋のドキドキから、暮らしの安心へ。
好きの形が変わるのは自然なこと。
でも時には不安やすれ違いという“嵐”もやってくる。
そんなとき、プレコンセプションケアという相談場所があることを書きました。
朝、目覚ましが鳴り響き、鬱陶しさの中でそれを止める。
少し前までは、自分のスマホからのアラームだった。
でも、今は彼のスマホから鳴っている。
アラームに気づかず眠り続けている彼の顔を見ている時間は、今日一番の至福の時とも言える。
でも、この時間に私は起きなくても良い。
だって出勤時間は夕方の夜勤なのだから。
誰のせいで起きることに!と、まだハッキリしない思考の中で静かにツッコミを入れている。
彼はようやく伸びをして、 「もう朝か〜よく眠れた?」 と微笑みかけてきた。
この無防備さに、やっぱり少しキュンとしてしまう。
一緒に暮らし始めた頃は、朝早く出る彼と朝ごはんを食べてお見送りするために、
よく寝たかなんてさておき、朝の味噌汁の支度をしていた。
少しでも“ちゃんとした彼女”でいたかったのだと思う。
理想のパートナー像を自分なりに演じていたというか、「こうありたい」という姿を頑張ってなぞっていた感じ。
でも今は、「寝たけど眠いね〜」と布団の中で会話を楽しみ、
昨日の夜の残りを温めて、ゆるやかにお見送りをしている。
丁寧というより、等身大。頑張りすぎない朝になった。
始めの頃の、初々しさと少しの緊張感が混ざった「好き」はどこへ行ったのだろう、とふと思うことがある。
外に出れば、冬のはじめはコートにマフラー、手袋までしていないと凍えそうだったのに、
少し季節が進むと、同じ気温でも太陽の光があるだけでコートを脱ぎたくなる日がある。
空気はまだ冷たいのに、どこかやわらかい。
そんな季節の変わり目みたいに、「好き」の温度も少しずつ変わっていくのだと思う。
そして、季節が巡るように、二人の関係もまた巡りながら重なっていくのだろう。
穏やかな春のような安心もあれば、夏のように熱くて少し疲れる日もある。
秋みたいに実りを感じる瞬間もあれば、冬の静けさの中で「大丈夫かな」と小さな不安が顔を出すこともある。
でも、恋もパートナーシップも、いつも穏やかとは限らない。
ときには嵐みたいな日もある。
すれ違ったり、言葉が届かなかったり、自分の体調やホルモンの波、仕事の疲れ、将来への不安
――理由はいろいろあるけれど、心がざわつく瞬間は確実に訪れる。
そんな時、「二人だけでなんとかしなきゃ」と抱え込まなくてもいいのだと思う。
誰かに話していいし、専門家を頼ってもいい。
プレコンセプションケアの相談も、実は妊娠前だけの話じゃない。
パートナーシップや自分の身体、これからのライフデザインを整える場所として、
嵐の日の避難所みたいに使ってもいいのだと、私は思っている。
冬が来ることを知っているからこそ、春のぬくもりはありがたいし、夏のまぶしさも愛おしく思える。
恋もきっと同じで、ずっとドキドキだけではいられないけれど、
その代わりに、安心という名の体温を手に入れていくのだと思う。
昔は、好きという感情は高揚感のことだと思っていた。
会えない時間に胸がぎゅっとなったり、通知ひとつで心が跳ねたり、次に会える日を数えたり。
そういう、少し不安定で刺激的な状態こそが恋だと思っていた。
けれど最近は、隣で寝息を立てている彼を見て「今日も元気でよかった」と思える瞬間の方が、
ずっと深いところで“好き”を感じている気がする。
特別な出来事じゃなくてもいい。
コンビニに一緒に行くとか、くだらないテレビを見て笑うとか、
そういう何気ない時間にこそ、関係の芯があるように思う。
変わったのは彼なのか、私なのか。それとも二人で過ごした時間そのものなのか。
たぶん全部なのだろう。
最初は相手に合わせようとしていた部分が、少しずつ自然体になっていく。
無理に良く見せなくてもいいし、沈黙があっても怖くない。
背伸びしなくても隣にいられる関係に変わっていく。
その変化は、少しだけ寂しさもある。
「あの頃のときめきはもうないのかな」と思う瞬間も正直ある。
でも同時に、今の安心感はあの頃にはなかったものだとも気づく。
どちらが良い悪いではなく、ただ形が変わっただけなのだと思う。
好きの形が変化するというのは、情熱が冷めることではなく、輪郭がやわらかくなることなのかもしれない。
鋭かった感情が丸くなり、触れても痛くない温度になっていく。
そしてその温度が、毎日の生活の中にじんわり溶けていく。
恋愛って、実はイベントよりも生活なんだと思う。
記念日よりも平日。サプライズよりも日常。
派手さはないけれど、その分、静かに続いていく強さがある。
だからきっと、これからも季節は巡る。
ときには寒さに身を縮める日もあるだろうし、強い日差しに少し疲れることもある。
でも、その全部を二人で経験していくうちに、好きはまた少し形を変えながら、静かに続いていくのだと思う。
朝のアラームに文句を言いながら、それでも隣に誰かがいることを嬉しいと感じられる限り、
この好きはちゃんと生きているのだろう。
そして最近思うのは、この穏やかな「好き」は、きっと未来の家族の土台にもなるのだろうということ。
特別な覚悟というより、小さな日常を一緒に積み重ねられるかどうか。
その連続が、パートナーシップを育てていく。
恋のドキドキも素敵だけれど、安心して眠れる隣があることも、同じくらい尊い。
好きは、消えるんじゃない。 少しずつ、生活の形に馴染んでいくだけなのだと思う。
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